
高断熱住宅は夏に涼しいか?
2019年8月29日(木曜日)
暖房機で部屋を暖めても何故か寒い。室温を計るとちゃんと設定温度になっているのに・・・と思っている方はいませんか?
昔から寒い季節は暖房機を使って部屋の空気を暖めてきました。それは、ストーブやFF暖房機だけでなく、公共施設等の空調も同じ原理です。そのためか、ほとんどの方が「暖房は空気を暖めること」と思い込み、快適性を温度計で計ってきました。
ここで、バーベキューを想像してみてください。お肉を焼くのに、ガスの炎と炭火ではどのように違うでしょうか。答えは簡単ですね。ガスの炎は肉の表面だけ焦がしますが、炭火は中まで火が通ります。これは、放射熱(輻射熱)のためで、空気が冷たくても焚き火が暖かいのは同じ原理です。放射熱は、体を心から温めてくれる快適な熱線なのです。
人間も含め、全ての物体が放射熱を発しています。そして、身体から発せられる放射の量が増えると寒さを感じ、回りの物体から受ける放射の量が増えると暑さを感じます。これは、体に触れる空気の温度とは全く異なる原理です。
したがって、室内の快適さは、空気を暖めたり冷やしたりする「室温」調節よりも、床壁天井の「表面温度」をコントロールすることのほうが重要です。そのため最近では、外気温の変化に影響されないよう、かなり高断熱の材料を使用するようになったのです。
尚、高断熱にしたら夏が暑くなったとお思いの方、それは間違いです。外のアスファルトやコンクリート等の放射熱が中に入ってくるためであり、室内の表面温度が高いわけではありません。庇やすだれで日差しを遮るとか、地面に水撒きをする、芝生を植えるなど、外部の表面温度を下げる工夫が大切なのです。
(文献:日経アーキテクチュア2012-1-10より)
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