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2022年3月10日(木曜日)
弊社では、岩手県西和賀町の設計に携わることがよくありますが、先日、その地域の積雪調査に行き、雪の重量測定を行いました。写真でわかるとおり、雪の重さが見た目で分かるほど重そうだったからです。調査の結果は次のとおりでした。
積雪量 1.5m(最深部分)
雪質 しまり雪
単位重量(kN/m3) 4.7(表面部分) 4.85(中間部分) 5.0(最深部分)
この値は、建築基準法施行細則で規定する岩手の多雪地域の単位重量の最低値(積雪1cm当たり30N/㎡=3.0kN/m3)を上回っていて一瞬驚きますが、高く降り積もった雪が自重によって沈降し、積雪深は減じても重量は変化しなかったためと考えられます。では、この積雪重量(1.5×4.85=7.3kN/㎡)は、構造計算にとってどれほどの重量になるのでしょうか。
多雪地域の雪の単位重量については、建築物荷重指針・同解説(日本建築学会)に等価単位積雪重量として、次の式で示されています。
0.72×d^0.5+2.32 (単位:kN/m3、d:年最大積雪深)
調査地の最大積雪深は3.0mであり、この式で求めた雪の単位重量3.57kN/m3(積雪1cm当たり35.7N/㎡)で計算すると、最大積雪重量は10.7kN/㎡となります。したがって、調査した雪は最大時の68%程度の重量であったことがわかります。
ここで大切なことは、積雪期間が長い地域では雪の量によって単位重量を適切に割り増す必要があるということです。例えば、この式で単位重量が3.0kN/m3となる積雪深が0.89mであることから、最大積雪深90cm以上の地域から雪の単位重量を割り増ししてもいいでしょう。
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