構造設計にもAI導入!
2023年12月26日(火曜日)
鉄骨造の建物を設計する際、注意しなければならない大切な部材として横補剛材があります。横補剛材は、鉄骨梁の横座屈を防止する部材であり、一般的には小梁がその役目を果たしています。従って、小梁の断面算定の際には、大梁から受ける軸方向力を考慮しなければなりません。うっかり床荷重だけ考慮して設計すると、強度が足りない場合があるので注意が必要です。そこで、建築の構造設計者向けのお話しをしましょう。
それでは、小梁にはどのような応力が発生するのでしょうか。それをまとめると、次のとおりです。
①床の荷重や自重による曲げモーメントとせん断力
②取付ボルトが大梁の軸芯から離れてしまうため発生する曲げモーメント
③大梁の横座屈を拘束する力「横補剛力」による圧縮力(又は引張力)
④小梁の軸芯が③の位置と一致しないため発生する曲げモーメント
ここで、①は小梁の断面算定で一般に算出する応力ですが、②については、鋼構造接合部設計指針(日本建築学会)に示されているように、無視している方が多いと思います。しかし、大梁の片側に取り付く場合は応力が大きくなる可能性があり、余力のない小梁については注意が必要です。
③と④は、小梁を横補剛材として使用する場合に考慮する応力です。③は小梁の軸方向力とし、④は小梁の曲げモーメントに加算して断面算定を行います。
それでは、大梁の横補剛力はどの程度考慮すれば良いのでしょうか。鋼構造塑性設計指針(日本建築学会)では、横補剛力は梁フランジの圧縮力の2%と示されています。従って、ここでフランジの圧縮力について考えてみましょう。一般的に、大梁のモーメントは下図のようになります。
一次設計(断面算定)の場合は、小梁(横補剛材)位置における大梁の曲げモーメントの最大値(Mbmax)を梁成で割れば、最大の横補剛力を算定するフランジの圧縮力を簡略的に求めることが出来ます。もし、小梁位置の最大曲げモーメントが分からないときは、Mbmaxよりも大きい大梁の断面算定用応力(長期は梁中央部のMo、短期は梁端部のMs)を採用しても良いでしょう。
一方、二次設計(保有耐力計算)の場合は、終局時の応力状態に対してすべての部分で横座屈が生じないことを確かめるか、または保有耐力横補剛を満足しなければなりません。保有耐力横補剛の場合のフランジの圧縮力は、小梁位置に関係なく、大梁の圧縮耐力(σy・A/2)を採用することになっているため、横補剛力が大きく、特にボルトが強度不足になりやすいので、注意が必要です。
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