床下の結露|設計段階で要チェック
2024年4月30日(火曜日)
横浜市のマンションが杭工事の施工不良で問題になりましたが、ここで杭基礎と支持地盤の関係をわかりやすく説明します。
建物の基礎は、その重さに耐えられる固い地盤(地層)に支えなければなりません。それを支持地盤(又は支持層)と呼びますが、支持層が浅ければ、基礎は直接その地盤に支えること(直接基礎)が出来ます。しかし、地表面が軟弱な場合は、何らかの方法で建物重量を支持する方法を考えなければなりません。その手段のひとつに「杭基礎」があるのです。
杭は、その支持方法によって「支持杭」と「摩擦杭」に分けられます。支持杭は、先端を支持層まで到達させ、主に杭の先端に働く反力(先端支持力)で支える方法です。これに対し、摩擦杭は、先端を支持層まで到達させず、主に杭側面の摩擦(周面摩擦力)で支える方法です。従って固い支持層がなくても支持できますが、杭の周囲の地盤は、軟弱とは言え、ある程度の固さが必要になります。
支持杭を採用した場合は、支持層が一定の深さにあるとは限らないため、先端が支持層に達しているかどうかをしっかり確認しなければなりません。杭工事では、専門技術者がすべての杭についてそれを確認し、支持層の深さに応じて杭1本1本の長さを調整しています。これを怠ると、支持層に達していなかった部分の基礎が沈下し、建物が傾いてしまうのです。
では、どのようにして工事前に杭の長さを想定するのでしょうか。実は、構造設計者は地盤の状況(支持地盤の深さや杭の周囲の土質等)がわかっていないと、構造計算が出来ません。そのため、設計前に必ずボーリング調査等の地質調査を行います。この調査が正確であればあるほど、杭の長さも正確に想定できるのです。逆に、地質調査を簡略化するほど杭工事に変更を伴うため、それが面倒で「杭が支持層に達したことにする」という不正まで発生する・・・正に本末転倒です。こんなことが起きないよう、設計と工事監理は工事請負業者ではなく、第三者にお願いするべきでしょう。
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