落雪と瑕疵|雪止めの設置は義務?
2022年3月10日(木曜日)
平成26年2月中旬、関東地方の大雪によって大規模施設の屋根が崩落する被害が発生しました。東北では、もっと多くの雪が積もるのに、このような被害がほとんど起きないのはなぜでしょう。
どうも設計荷重に問題があると思います。被害の概要と積雪量の一覧が、日経アーキテクチュア2014.3.10に掲載されました。
これを見ると、今回の積雪量が基準積雪量を上回っていたことがわかります。基準積雪量は、50年に一度の確率をもとに特定行政庁が指定したもので、この積雪量に雪の単位重量を乗じて算出される設計荷重をもとに構造計算が行われています。従って、想定以上の雪が積もったわけですから、壊れる前に雪下ろしが必要でした。
しかし、原因は積雪量だけではありません。建築基準法施行令では、多雪地域(積雪量が100cm以上または積雪日数が30日以上の地域)以外は、雪の単位重量を積雪1cmあたり20N/㎡と定めています。ところが、今回の雪はそれを上回るような湿った重い雪だったのです。また、降ったときに軽くても消えずに残る雪は、例え30日未満でも水分を含んでどんどん重くなります。従って、多雪地域でなくても、雪の単位重量は、適切に割増しする必要があるわけです。
弊社のある岩手県北上市も大部分が積雪地域ではありませんが、雪が消えずに残ることを想定し、弊社では30N/㎡で構造計算しています。構造に限らず、積雪に関する設計は、多くの経験と知識を持つ弊社に是非ご相談ください。
(文献:日経アーキテクチュア2014-3-10)
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